Hello, AMPs

ダジブロ

お金 、健康 、芸能、スポーツ、漫画 、オリジナル小説について記事を書いています!

メモリーズ ~第十一章 決断 その2~


スポンサードリンク

f:id:masahirokanda:20200726235127p:plain

 

第十一章 決断 その2

 

明南大学に着いた。

新御茶ノ水駅からキャンパスまでの足取りは重かった。

後はあの確証さえ取れれば全てのピースが出揃う事になる。

足取りも重くなる筈だ。

しかし、俺はキャンパスまで足を止める事はなかった。

 

俺は正門を潜り、周りを見渡した。

・・・・・うん?

あれは、この前、古丸海斗の事で会話したあの学生ではないか。

服装が違っているが顔は全く同じだ。

間違いない。

俺がキャンパスに来た途端、正門の前を歩いた。

こんな偶然あるのか?

それも日曜日に。

これは神様が俺に真実を導き出せと言っているのか?

俺はお告げの通り、彼に近づいた。

 

「あのー、またすみません」

「ああ、この前はどうも」

「また新たにお訊きしたい事が見付かったので参りました」

「しかし、こんな広い所で偶然見付けられて良かったですね。良いですよ、ここで会ったのも何かの縁です」

 

本当にその通りだ。

 

「有り難う御座います」

「で、新たに訊きたい事とは何ですか?」

「ええ、実はこれなのですが」

 

俺はさっき発見した例の壊れたネックレスを見せた。

 

「これなんですが、これはもしかしたら古丸さんの物でしたか?」

 

彼がその物体を凝視する。

 

「うーん・・・・・どうだったかな?持っていたような、持っていなかったような・・・・・すみません、ちょっと俺では判りませんね」

「・・・・・そうですか」

 

ここまでなのか。

 

「でも、そう言われてみれば持っていたかも・・・・・」

 

確証が欲しい。

それでは駄目だ。

 

「どうした?」

 

彼の戸惑っている様子を見て、キャンパスメイトが彼に声を掛けに来た。

 

「こちらちょっと、古丸の事で訊きに来た人なんだけど、お前、これ古丸の物だったかどうか判る?」

「見覚えありませんか?」

 

今は君だけが頼りなんだ。

 

「これですか。うーん、・・・・・ええ、ああ、確かにあいつそれ持っていましたよ。これ前付き合った女に買って貰ったって俺達に自慢していましたから。ていうか確か、お前もその時、いただろ」

 

助かった。

有り難う。

見ず知らずの学生よ。

 

「ああ、確か言われてみれば、あいつ以前にそんな事、言っていたな。思い出したよ」

「これはもしかして毎日ずっと着けていましたか?」

「ええ、そうですよ。高い物だから、別れた女に買って貰った物だけど、身に着けないと勿体ないとか言って、結構な割合で身に着けていました。あいつはそういうのに鈍感な奴でしたからね」

 

やはり、神は俺に真実を導き出せと言っていた。

 

「色々と有り難う御座いました」

「いえ、ではこれで」

 

そう言って、二人は去って行った。

 

これで全てが解った。

彼女がしたい事、した事、全てが。

・・・・・でもこれから、どうする?

このまま俺の心の中で閉まっておいて、逸事のままにすべきなのか?

それとも公にすべきなのか?

でも、もしそんな事をしたら、彼女は・・・・・。

どうする、俺。

迷っている時間は無い。

決行は恐らく、明日。

この選択が今までの人生で最大の決断だ。

同じような境遇にいる俺は日頃の自分の生活を彼女と照らし合わせた。

 

・・・・・警察に行こう。

そして、知っている事、考えた事、全てを話そう。

それが俺に今課せられた使命だ。

俺には真砂を助けたいという気は毛頭ない。

寧ろ彼女にそんな事を

する奴は死ねば良いと思っている。

彼女自身を助けたいんだ。

そう決心が固まった俺はその足で警察に向かった。

にほんブログ村 小説ブログ ミステリー・推理小説へ
にほんブログ村


スポンサードリンク