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国家予算の仕組みと税金の意義


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2019年度国家予算案は一般会計の歳出総額が約101兆456億円で、過去最大だった2018年度の当初予算の97.7兆円を4兆円近く上回りました。

税収は約3兆4200億円増の約62.5兆円。

その他収入は預金保険機構の資金繰り入れなどで6.3兆円前後と約1兆3600億円増え、赤字国債は約1兆8900億円減り、25兆7100億円程度となりました。

新規国債発行額は9年連続で減らし、32兆6600億円程度で約1兆300億円減となりました。大幅に増える公共事業の財源に使う建設国債は約8600億円増の6兆9500億円前後で、政府支出は78兆円となりました。

 

2019年度国家予算案の税収は62.5兆円、その他収入(特別会計から繰入、国有地の売却、国有地の賃料)6.3兆円、合計68.6兆円、政府支出(社会保障、防衛、公共事業、地方交付税交付金、公務員の給料等)が78兆円で基礎収支はマイナス9.4兆円です。

良く言われているプライマリーバランスとはこの基礎収支を0にすることです。

 

次に国債の利息が年間約9兆円です。

国債の利息と基礎収支のマイナスを合わせた金額は税収とその他税収では18.4兆円足りず、新規国債を発行して国家予算を組むしかありません。

 

次に国債償還は14.5兆円です。

国債償還とは満期を迎える国債の償還のことで、満期を迎えたものをまた借り換えて、新たな借金としてロールオーバーして、返します。

国債償還は借り換えなのでそのお金は、返してまた借りるから世の中に出回ることはなく、プラスマイナス0です。

しかし、政府支出と国債の利息から税収を引いた合計18.4兆円は世の中に出回ります。何故なら、政府支出は民間企業や公共機関、公務員の給料として使われ、国債の利息は銀行、生命保険、損害保険、GPIFに所属する機関投資家が持っていて、その利息を間接的に国民が受け取っているからです。

つまりマネーストックM2は現在、約1010兆円ですが、1年で約1028.4兆円に増えるということです。

 

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2018年での国債残高が約900兆円です。

基礎収支9.4兆円と国債の利息9兆円が足りないので新たに18.4兆円分の国債を発行します。

すると、国債残高は918.4兆円になります。

 

これを税収で国債を返すと国民のお金、マネーストックM2はほとんどなくなります。

例えば、来年新しい税金を作ったり、消費税等の税率を上げて、100兆円税収を集めたとすると、新しい国債を発行することなく、国家予算を組めるばかりか、政府支出を差し引いても、22兆円の黒字が出ることになり、そのお金を国債の元本を減らしたり、利息の支払いに充てることができます。

毎年、100兆円の税収を集めて、そのお金で国債を返済していけば、確かに国債残高は41年ほどで0になります。

しかし、政府支出と国債の利息から税金を引いたお金が初年度がマイナス13兆円、翌年から借り換えもしなくなり、国債の元本も減って行くことになり、国債の利息も少なくなるので、どんどん、マイナスになっていき、41年後にはマネーストックM2もほとんどなくなります。

 

それでも大丈夫な唯一の方法は、国債残高が0円になった時に、民間銀行が信用創造で900兆円の借金を発行し、世の中のお金を増やすことですが、それが現実的かどうかは全く別の話です。

何故なら、民間の貸出残高は最大約530兆円からバブル崩壊後に約400兆円まで減り、その後、約20年間、ほとんど増えていないからです。

銀行が900兆円の融資を増やすということは民間企業にそれだけの経済成長を要求することになり、無理な話です。

よって政府の借金を税金で返す選択肢はないということです。

 

次にプライマリーバランスを重視する、つまり、税収を上げ、政府支出と税収、その他収入を同じ金額にする場合ですが、国債の利息は今までと同じ9兆円掛かり、当然それは税収やその収入は既に政府支出で全て使ってしまったので、払う原資はなく、それは新しい国債を発行して、借り換えて利息を支払うことになり、国債残高が少し増えてしまいます。国債残高が増えれば利息も増え、本質的には何も変わりません。

 

最後に、もっと頑張って、税収を上げ、その他収入との合計を79兆円にした場合ですが、国債残高とマネーストックは毎年、1兆円ずつ減って行くことになります。

しかし、完済するのに900年掛かり(900年前の日本は平安時代)、毎年元本が減り、利息は減りますが、それでもやはり利息が掛かってきて、利息だけで900年間で9兆円×900年÷2=4050兆円となります。(利息が900年間1%くらいで推移した場合)

また、銀行の貸出残高がこのまま増えないとしたら、マネーストックM2は110兆円程度しかありません。

お金と借金を増やし続けなければならない状況で、借金を減らせばお金が減り、国債の元本がある限りは利息分のお金は少なくとも、借金で増やし続けなければなりません。

 

結局、2019年度の実際の予算案、極端に税収を増やして一気に国債を減らす、プライマリーバランス、もう少し頑張って年間1兆円国債を減らしても金利に押し潰され全部、駄目ということになります。

この仕組みそのものが結局、出口がないということです。

つまり、税金で政府の借金を返す選択肢はなく、信用創造で膨らませたお金から税金を集めて、国債残高を返していくという今の仕組みそのものが結局、問題ということです。

 

改善案は政府通貨で政府の借金を置き換えていくしかありません。

例えば、1兆円紙幣を100枚刷って、それを日銀に預けて、政府預金口座に100兆円書き込んで、政府支出として民間に振り込めば良いのです。

それが元々、税金だったか、政府通貨だったかは知る余地もありませんし、政府紙幣と既存の紙幣は混同することはありません。

そうすると、マネーストックM2が1028.4兆円になり、基礎収支がプラス90.6兆円になり、利息9兆円払っても、81.6兆円余り、それを全て国債の返済に充てれば、国債の残高は818兆円ほどに減らすことができます。

仮に、こうしても現在の税収と生活は何も変わらないで、国債残高が減るだけです。

10年ほど、これを続けると日本政府の借金はほぼなくなり、その間でマネーストックM2は毎年、30兆円近く増えることになります。

勿論、国債の元本が減るので、利息の部分の毎年9兆円がどんどん減っていって、10年後には利息を受け取っている機関投資家に資産を預けている高齢者への利息がなくなり、子供達への世代間格差装置がなくなることになり、社会に蔓延する利息を駆逐することが出来ます。

 

1990年代以降の物価上昇率は2.5%ですので、毎年2%物価が上がっても問題ありません。

もし、これでハイパーインフレになるなら今までの政策が間違っていることになります。

ハイパーインフレになる主な原因は2つあります。

1つは極端なモノ不足の時です。

物資が少ない時はお金は意味を持ちません。

今の日本の状況はそれと真逆で供給量に対して、需要量は極端に少ないです。

戦争や大災害がなければ、ハイパーインフレは起きません。

 

もう1つは経常収支の赤字です。

基本的には経常赤字の国がハイパーインフレになりやすいです。

経常赤字の国は自国に足りないモノを外国から買ってくるだけの外貨がありません。

そうなれば、外国から借りるか貰うしかありません。

赤字になっていると、それを返す原資もないので、最悪、自分達の国の通貨を売って、為替市場で外貨を得る必要があります。

そうすると、どんどん自国通貨安が進んでいくので、どんどん自国の通貨を発行しなければなくなります。

日本の場合は世界一の経常黒字国です。

ですので、これも全く問題ありません。

 

しかし、これでもしインフレ気味になるなら、税金を上げたり、政府通貨の発行を減らしマネーストックを減らせば良いのです。

日本はハイパーインフレに世界一なりにくい国です。

円は暴落しません。

むしろ暴落を心配しないといけないのは円ではなくドルの方です。

ドルは世界中にばら撒かれている紙クズ同然の資産です。

国債は基本的には利付債(クーポン債)ですので、もし金利が1%から2%に上がったら、それを100円で買っても毎年1%の利息しか得られないので、100円で買う人はいなくなります。

すると、国債の値段は下がります。

下がったところで国債の金利が2%の時に、額面1%の国債を残り5年の時に95円で買うと、満期になるとそれが100円で償還されるので、5円の利益と5年分残っているから5年間毎年1円の利息で合わせて、10円分の運用益が出ます。

そうすると、95円で買って、10円の利益が上がるから、年率2%以上の運用になります。

だから、95円になれば買い手が付きます。

金利が上がれば、国債の価格が下がるのは当たり前の話です。

 

それと国債が暴落するかは全く別の話です。

ですので、政府通貨を発行して、国債価格が下がり円が暴落するのは間違いです。

そもそも政府の国債をデフォルト、債務不履行にする話ではなく、政府通貨でお金を発行して、国債を償還する話です。

年率1%の10年もの100円国債を償還することは10年後にはちゃんと100円払って、毎年1%の利息を払うことになります。

日本政府はそれを税金で払うといってももう、30年以上1円も税金で返さないまま、利息も元本も新たな国債でそれを払い続けています。

だから、政府通貨でそれをやったところで今までと何も変わりません。

それで国債の信用が傷つくことはありません。

 

仮にそうだとしても誰が売るのか?

国債の90%以上、日本人が持っていて、そのほとんど機関投資家が持っていましたが、ここ数年の異次元の金融緩和のせいで、日本の民間銀行が持っていた半分くらいの400兆円以上の国債を日銀が買い上げてしまいました。

この異次元の金融緩和のせいで民間銀行が困っています。

 

民間銀行は今まで持っていた1%の国債で利息を得ていましたが、全く利息をもたないキャッシュに換わってしまいました。

日銀が買い上げた国債の代金は民間銀行の口座にキャッシュで振り込みます。

 

このキャッシュは基本的には金利が付くものではありませんが、今はマイナス金利部分があり、逆にある一定以上のお金をそこに置いておくと金利を取られます。

これをブタ積みと言い、銀行はそのお金を民間に貸せということでペナルティーということでマイナス金利を掛けています。

 

民間銀行にしてみればこれは困った事態で、勿論、貸そうにも経済成長がなくなっていると、借り手が見つかりません。

今まで、民間銀行は国債を買っていましたが、それを半分以上、日銀に買われてしまいました。

政府通貨で政府の借金を置き換えて行った時でも、これまで発行した国債には勿論、利息も付いて運用できます。

しかし、既に日銀が半分以上買ってしまって、10年後に国債が政府通貨に全部置き換わってしまえば、利息を生む国債が0になります。

 

そして、最後に政府通貨でお金を発行して、それで国家予算を賄うならば、そもそも税金いらないのか?と言う話ですが、税金は遠い未来にはもしかしたらなくせる仕組みを作れるかもしれませんが、現代には必要です。

 

税金には重要な機能が幾つかあります。

まずは富の再分配という機能があります。

今までの仕組みも不公平な仕組みで、富の再分配をしないととんでもない格差が広がってしまいます。

不公正な仕組みを直したところでも、お金を稼げることと人間の価値とは必ずしもイコールではありません。

お金を稼ぐことが得意な人とそうではない人がいるし、そもそも興味がない人もいます。

 

得意ではないが為にそれだけで生活の水準が大きく下がり、人生の質が大きく変わるのは人間社会であってはいけないことです。

お金を稼ぐことが得意な人から少し多く貰って、そうではない人に再分配や社会保障で手厚く保護をすることは大事なので、税金はなくせません。

 

次に大事なことは税収と言うのは国の形を作るからです。

何に課税するのか何に課税しないのかによって人々の行動が変わってきます。

 

たばこ税、酒税等あまり推奨すべきではない行動に税金を掛けていくことによってある程度の抑制効果が狙えます。

ガソリン税もあまり使うと資源がなくなるから、ある程度課税していってCO2排出を抑制できます。

また、相続税を0か100%にするかによって、国家の考え方そのものが現れます。

富の格差を世代を超えて続けさせるかどうか、相続税を100%にすれば、その世代で富の格差は止まります。

家庭が裕福かそうではないかによって教育に掛けられるお金が違ってくるので、格差は続く場合はあるかもしれませんが、教育の均等化は別の施策で何とかやるとして、ある程度は止まります。

逆に0%になったら、親の資産があるかないかでそのまま世代に引き継がれることになります。

事業の継承に掛かる相続税は、事業が続かなくなるかもしれないのでそういった面は色々考えて、適度な税率や租税特別措置によって落ち着かせることが必要ですが、とにかく税制には国の思想が出ます。

 

絶対に税金を掛けてはならないのは消費税です。

付加価値に税金を掛けるべきではありません。

消費税によって、人間が付加価値を生み出していくことが抑制されます。

そこに税金を掛けると人間の活動は縮小されていくので、人間の活動を抑制する消費税は財源が足りる足りないではなく思想的に掛けてはいけません。

 

最後に税金には金融政策というとても重要な機能があります。

現代の税金の仕組みである財政政策は実質的に金融政策になっていて、財政政策と金融政策の一体化して、30年以上経っています。

 

税収と政府支出の差額でもし、税収が少なく、政府支出が大きければ、それはお金の発行となり、逆に税収が大きく、政府支出が少なければ、今度はその分、お金を世の中から回収することになるので、これも金融政策になります。

日銀の金融政策、つまり借金の量の調節機能は利かなくなって、もう長いこと経っています。

ここ数年の日銀の金融政策で借金の量を調節していますが、結局それで民間銀行が貸すことが出来なくなっています。

だから、既に金融政策は財政政策に移っていて、財政政策の方が実質的な金融政策になっているのです。

世の中のお金を増やしたいなら、政府通貨によって政府支出を増やし、税金を減らして、その差額の赤字分を増やせばその分お金を増やすことになります。

逆にお金を回収する時には税金を上げて、政府支出を減らして税収を多くすれば、お金の回収になります。

新しい金融政策として意図的にこれは使っていくべきです。

そういう意味でも税金と言うのはなくせません。

 

今までの日銀の金融政策は借金の増減に過ぎません。

お金を増やしたければ、借金を増やす、お金を減らしたければ借金を減らすという日銀の金融政策は金利の上げ下げです。

景気が過熱すると金利を上げて、借りたい人や借りられる人が減って、借金が減ります。

これには問題があります。

 

まずはタイムラグがあります。

とにかく、金融政策が利くまで時間が掛かります。

仮に金利を上げた所で直ぐに借金が減って、お金が減る訳ではなく、その減り方はそれによって借りたい人や借りられる人が減り、これまで借りて来た人が毎月返すことによってだんだん借金が減っていきます。

 

次に今の金融政策では経済的格差があるということです。

それが減りつつ新たな借金が借りられなく、または今まで借りていた人が返せなくなります。

それにより、借りられなくなってしまう人や今まで借りていた人が返せなくなってしまう人は基本的には経済的に困っている人達で、その人達がお金を借りられなくなったり、返せなくなります。

そうやって、経済的弱者達から振り落としてしまうことになります。

逆に今度、景気後退でお金を増やしたい、借金を増やしたい時に、最初に借りられる人達は元々、担保となる資産を持っていたり、会社員や公務員等、比較的、銀行が安心して貸せるような人達です。

 

ですので、今の金融政策ではそれが世の中に利くまでに時間が掛かるばかりだけではなく、経済的弱者をさらに苦しめるだけなのです。

 

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